術くらべの巻 ある日、幸之進キツネと与三郎キツネが術くらべをした。話し合いの結果、幸之進キツネが先番となって、日時、場所を約束して別れた。
当日、与三郎キツネが来てみると、向こうから美しく着飾った花嫁行列がしずしずと進んできた。呆然と見とれてい ると耳のかたわらで大きな笑い声が起こり、同時に花嫁行 列も消え失せた。 幸之進キツネ得意の七化けの一つであった。
次は、与三郎が見せる番である。幸之進キツネが約束の日 時に、定められた国道の松並木までやってきて、松の木に 登り与三郎キツネの七化け妙技を待った。
向こうから堂々と行列を整えた大名行列がやってきた。「うまい。本物そっくりだ」と感心していると、幸之進 キツネの松の下を行列が通りかかった。
「うまいぞ」と幸之進キツネは、松の木を揺さぶった。すると、ささや松葉 が行列の上に降りかかった。武士は、 「何ヤツ!」と松の木を取り囲み、幸 之進キツネを引きづりおろし、一刀両 断に切り殺してしまった。
行列は本物であったのだ。あらかじめ大名行列のあることを知っていた与三 郎キツネは、それを利用して好敵手を なきものにしてしまった。<おわり>
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